葉を揺らすと白い虫が飛ぶ?コナジラミの見分け方と対策
野菜の葉に触れた瞬間、白い小さな虫がふわっと飛び立つなら、まずコナジラミを疑います。最初にすることは、被害株をほかの株から離し、葉裏を確認し、寄生の多い葉を袋に入れて取り除くことです。
成虫だけを追い払っても、葉裏に幼虫や卵が残れば再び増えます。黄色粘着板による成虫の捕獲、寄生葉の除去、侵入予防、必要に応じた登録農薬を組み合わせて対処しましょう。
今すぐ確認すること
- 葉を軽く揺らすと、白い虫が飛び立つか
- 葉裏に白い成虫や、薄黄色から半透明の小判形の幼虫がいないか
- 葉が白くかすれる、黄ばむ、べたつくといった変化がないか
- べたついた部分に黒いすす状の汚れが出ていないか
- トマトの新葉が黄色くなり、巻いたり縮んだりしていないか
コナジラミは葉裏まで対処しないと減らない
コナジラミ対策の要点は、飛んでいる成虫と葉裏に残る幼虫を別々に考えることです。
農研機構の資料では、オンシツコナジラミとタバココナジラミは体長約1mmで、主に葉裏へ寄生するとされています。株を揺らしたときに白い成虫が飛ぶため発見しやすい一方、幼虫は葉裏に付着しているので見落としがちです。農研機構の施設園芸マニュアルでも、成虫を確認したら周囲の葉裏を観察するよう示されています。
発生初期なら、次の順番で対応します。
- 被害株を健全な株から離す
- 葉裏を確認し、寄生の多い葉を切り取る
- 切った葉をその場に置かず、すぐ袋へ入れる
- 黄色粘着板を設置し、飛ぶ成虫の増減を確認する
- 数日おきに葉裏を再点検する
- 増加が止まらなければ、栽培中の野菜に登録された防除剤を検討する
ここがポイント: 黄色粘着板は成虫の発見と捕獲には役立ちますが、葉裏の卵や幼虫までは除けません。単独で駆除を終わらせず、葉裏の確認と組み合わせます。
白い小さな虫がコナジラミか見分ける
見分けるときは、飛び方だけでなく、寄生場所と葉の変化を確認します。
成虫は約1mmで、葉を揺らすと飛ぶ
オンシツコナジラミの成虫は0.8〜1.1mm程度です。農研機構の害虫情報にも、この大きさが示されています。
肉眼では白い粉を帯びた小さな虫に見えます。葉の表面を歩き回るよりも、普段は葉裏に付き、株へ触れたときに複数が舞い上がるのが目立つ特徴です。
幼虫は飛ばず、葉裏に張り付く
幼虫は白色から薄黄色、半透明に近い小判形です。成虫のように飛ばないため、ルーペがあると確認しやすくなります。
葉裏に白い点が多数あっても、すべてがコナジラミとは限りません。葉の毛、土ぼこり、脱皮殻との区別が難しい場合は、数日間同じ葉を観察し、成虫の飛来とセットで判断します。
アブラムシやアザミウマとの違い
- アブラムシ:緑、黒、黄など体色がさまざまで、茎や新芽に集団を作ることが多い
- アザミウマ:細長い体で、葉や花にかすり状の食害を残しやすい
- コナジラミ:白い成虫が葉裏に付き、株を揺らすとふわっと飛び立つ
害虫を特定できないまま薬剤を選ぶと、対象外の製品を使うおそれがあります。判断が難しいときは、虫と葉裏を接写し、地域の病害虫防除所や農業改良普及センター、園芸店へ相談するのが確実です。
放置すると吸汁、すす病、ウイルス病につながる
少数の成虫が飛んでいるだけでも、葉裏で世代が進む前に手を打つことが重要です。
吸汁で葉が黄ばり、生育が鈍る
成虫と幼虫は葉から汁を吸います。数が増えると葉が白っぽくかすれたり、黄ばんだりし、野菜の生育が弱ります。
被害が出やすい野菜は、トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、キュウリなどです。ただし寄主となる植物は多いため、隣の鉢や畝も一緒に調べます。
排泄物からすす病が発生する
コナジラミの排泄物で葉や果実がべたつくと、そこにすす状の黒い菌が生えることがあります。これがすす病です。
黒い汚れだけを拭き取っても、コナジラミが残っていれば再発します。黒い葉を見つけたら、その真上にある葉の裏までたどって寄生状況を確認してください。
トマトでは黄化葉巻病にも注意する
タバココナジラミは、トマト黄化葉巻病の原因ウイルスを媒介します。新葉が黄色くなる、葉が巻く、株が萎縮するといった症状がある場合は、単なる吸汁被害として扱わないことが大切です。
愛知県は、疑わしい株を速やかに除去し、防虫ネットなどでコナジラミの侵入を防ぐよう案内しています。愛知県の対策資料では、施設の開口部に目合い0.4mmの防虫ネットを推奨しています。
ウイルス病は、殺虫剤を散布しても感染した株が元へ戻るわけではありません。症状が疑われる株は隔離し、自治体や病害虫防除所の情報を確認して、地域の指導に沿って処分します。
発生したときの対処を順番に進める
発生直後は物理的な除去を優先し、取り切れない場合に防除剤を加えます。
1.被害株を離し、周囲の株も点検する
プランターなら、被害株を健全な株から距離を取って置きます。ベランダでは風下へ成虫を追いやらないよう、株を強く振り回さず静かに移動してください。
地植えでは株を動かせないため、被害株から隣接株へ向かって葉裏を順に調べます。雑草にも寄生するので、株元や畝の周囲も確認します。
2.寄生の多い葉を取り除く
幼虫が密集した下葉は切り取り、その場で袋に入れます。畑やベランダへ放置すると、残った個体が再び野菜へ移る可能性があります。
ただし、一度に葉を取りすぎると光合成できる面積が減ります。株全体へ広がっている場合は、葉を丸坊主にするのではなく、防除剤との併用や株の処分を検討します。
3.黄色粘着板で成虫を捕らえる
コナジラミ類は黄色に誘引される性質があり、黄色粘着板は成虫の発生確認に使えます。農研機構のミニトマト試験では、黄色粘着トラップによって密度増加を遅らせる効果が示されましたが、同時にほかの防除手段との組み合わせが重要とされています。試験結果の詳細も、粘着板だけでは不十分な場合があると明記しています。
家庭菜園では、次の点に注意します。
- 野菜の葉に粘着面が触れない位置へ固定する
- 生長点付近を目安にし、株の成長に合わせて高さを調整する
- 虫やごみで面が埋まったら交換する
- 子どもやペットが触れない場所に置く
- 捕獲数が減っても葉裏の点検を続ける
粘着板は「何匹取れたか」を厳密に数えるより、前回より増えたか減ったかを見る道具として使うと管理しやすくなります。
4.必要なら登録農薬を使う
寄生が複数の葉へ広がり、除去だけで抑えられない場合は、家庭園芸用の殺虫剤を検討します。商品名だけで選ばず、ラベルで次の項目を確認してください。
- 育てている野菜が適用作物に含まれるか
- 対象害虫に「コナジラミ類」などの記載があるか
- 希釈倍数または使用量
- 使用時期と収穫前日数
- 総使用回数
- 使用方法と散布時の保護具
登録内容は変更されることがあります。購入時と使用直前に、製品ラベルと農林水産省の農薬登録情報提供システムで確認します。
コナジラミは葉裏に寄生するため、使用方法が散布となっている製品は、ラベルの範囲内で葉裏へ薬液が届くよう丁寧に処理します。茨城県の防除資料も、ノズルを上向きにして下側から散布するなど、葉裏へ十分かけるよう案内しています。茨城県「施設野菜共通-コナジラミ類」を参照してください。
効きにくいからと濃度や回数を自己判断で増やしてはいけません。再発する場合は同じ製品を漫然と繰り返さず、登録内容を確認したうえで地域の専門機関へ相談します。
地植えとプランターでは予防の重点が違う
地植えでは周辺からの飛来を減らし、プランターでは苗や鉢を介した持ち込みを防ぐことが中心です。
プランター・ベランダ菜園
限られた株数をこまめに見られる点が強みです。
- 苗を購入するときに葉裏まで確認する
- 新しい苗をすぐ既存の鉢へ密着させない
- 鉢同士を詰めすぎず、葉裏を点検できる間隔を空ける
- 発生株は移動できるうちに隔離する
- 栽培を終えた株や落ち葉を放置しない
ベランダ全体を細かいネットで囲う場合は、風通しと高温に注意します。夏はネット内の温度が上がることがあるため、虫の侵入防止だけを優先しないでください。
地植え・露地菜園
露地では外からの飛来を完全に止めるのは困難です。侵入後すぐに見つける仕組みを作ります。
- 畝の周辺に寄主となり得る雑草を増やさない
- 苗の定植前に葉裏を確認する
- 黄色粘着板で成虫の飛来を早めに知る
- 葉が込み合ったら、野菜ごとの適切な整枝で観察しやすくする
- 収穫終了後の残さを畝のそばへ放置しない
防虫ネットをトンネル状に使うと侵入を減らせますが、トマトやキュウリなどでは生長に伴う支柱管理や受粉、換気との両立が必要です。目合いが細かいほど通風性は下がるため、作物と季節に合わせて使います。
よくある失敗と立て直し方
対策が長引く原因は、成虫だけを見て葉裏を確認しないことです。
白い成虫を追い払って終わる
成虫が見えなくなっても、葉裏には幼虫が残っていることがあります。対処後も数日おきに新葉と下葉を確認し、再び白い虫が飛ばないか見ます。
粘着板だけで全滅を狙う
粘着板に付くのは主に飛翔する成虫です。幼虫が多い葉は取り除き、必要に応じて登録農薬を組み合わせます。
虫が付いた葉を株元へ置く
切った葉を畝や鉢の土へ置くと、防除が不徹底になります。袋へ入れ、自治体のごみ分別に従って処分します。病気が疑われる株も、地域の案内を確認して扱ってください。
自作液を安全だと思い込む
洗剤や油などを自己流で濃く混ぜると、葉が傷むことがあります。また、害虫防除を目的に使える資材かどうかは別問題です。農薬を使う場合は、登録された製品をラベルどおりに使用します。
薬剤を葉の表面だけにかける
コナジラミの主な寄生場所は葉裏です。散布可能な登録農薬を使うときは、葉裏へ届く姿勢とノズルの向きを意識します。ただし、強風時や高温時など、ラベル上または製品説明上不適切な条件では散布を避けます。
再発を防ぐ日常管理
予防で最も効果を上げやすいのは、苗の持ち込み時と発生初期の点検です。
週に一度は新葉と下葉を見る
成虫は飛ぶので目立ちますが、幼虫は葉裏に隠れます。新葉だけでなく、古い下葉も数枚めくる習慣を付けます。
確認する場所を固定すると続けやすくなります。
- 生長点に近い若い葉
- 株の中ほどで込み合った葉
- 地面に近い下葉
- 黄色粘着板の周辺
- 隣接するナス科・ウリ科野菜
苗と残さを発生源にしない
新しい苗を持ち込む前に、葉裏の成虫と幼虫を調べます。栽培終了後は株、落ち葉、取り残した脇芽を片付け、次の野菜へ害虫を引き継がないようにします。
施設栽培向けの指針では、作と作の間に植物がない期間を設けることや、周辺雑草を管理することも挙げられています。家庭菜園でも、同じ場所で野菜を途切れなく置く場合は、古い株から新苗への移動に注意が必要です。
株を健全に保つだけでは防除にならない
適切な水やりや追肥は野菜の生育を支えますが、それだけでコナジラミを駆除できるわけではありません。肥料を多く与えて解決しようとせず、虫そのものを確認して対処します。
まず今日やる3つの対策
コナジラミを見つけた日は、次の3つから始めてください。
- 葉裏を見て、成虫だけでなく幼虫の範囲を確認する
- 寄生の多い葉を袋へ入れて除去し、黄色粘着板を設置する
- 数日後に再点検し、増えていれば登録農薬や専門機関への相談を検討する
トマトで葉の黄化、巻き、萎縮が出ている場合は、虫を減らす作業だけで済ませず、黄化葉巻病の可能性を確認します。次に見るべき場所は、飛んでいる虫ではなく、まだ動かない幼虫が残っている葉裏です。
